環境変数

Voltaは環境変数を通じて多くの側面を設定できます。これらの変数は、その行動をカスタマイズし、特定の環境やワークフローに適応させるために使用できます。

Volta設定変数

VOLTA_HOME

Voltaがツールとデータを保存するディレクトリを指定します。

デフォルト値：

• Unix：~/.volta
• Windows：%LOCALAPPDATA%\Volta

例：

export VOLTA_HOME=/usr/local/volta
volta install node@16

VOLTA_FEATURE_PNPM

pnpmサポートを有効にします。この機能は実験的なものです。

デフォルト値： 設定されていない（無効）

例：

export VOLTA_FEATURE_PNPM=1
volta install pnpm

VOLTA_LOGLEVEL

Voltaが出力するログメッセージのレベルを制御します。

有効な値：

• error：エラーメッセージのみ
• warn：警告とエラーメッセージ
• info：情報、警告、エラーメッセージ（デフォルト）
• debug：すべてのメッセージ（詳細なデバッグ情報を含む）

例：

export VOLTA_LOGLEVEL=debug
volta install node@16

ツール解決変数

VOLTA_NODE_VERSION

使用するNode.jsバージョンを強制的に指定します。プロジェクト設定をオーバーライドします。

例：

export VOLTA_NODE_VERSION=14.21.3
node --version  # 14.21.3を出力

VOLTA_NPM_VERSION

使用するnpmバージョンを強制的に指定します。

例：

export VOLTA_NPM_VERSION=8.19.4
npm --version  # 8.19.4を出力

VOLTA_YARN_VERSION

使用するYarnバージョンを強制的に指定します。

例：

export VOLTA_YARN_VERSION=1.22.19
yarn --version  # 1.22.19を出力

VOLTA_PNPM_VERSION

使用するpnpmバージョンを強制的に指定します（pnpmサポートが有効な場合）。

例：

export VOLTA_FEATURE_PNPM=1
export VOLTA_PNPM_VERSION=7.33.6
pnpm --version  # 7.33.6を出力

ネットワーク設定変数

VOLTA_HTTP_TIMEOUT

HTTP要求のタイムアウト（秒）を設定します。

デフォルト値： 30

例：

export VOLTA_HTTP_TIMEOUT=60
volta install node@16  # より長いタイムアウトで

VOLTA_MAX_REDIRECTS

HTTP要求でフォローするリダイレクトの最大数を設定します。

デフォルト値： 10

例：

export VOLTA_MAX_REDIRECTS=5
volta install yarn

プロキシ設定

Voltaは標準のHTTPプロキシ環境変数を尊重します：

• HTTP_PROXYまたはhttp_proxy
• HTTPS_PROXYまたはhttps_proxy
• NO_PROXYまたはno_proxy

例：

export HTTPS_PROXY=http://proxy.company.com:8080
export NO_PROXY=localhost,127.0.0.1,.local
volta install node@16

インストール動作変数

VOLTA_INSTALL_STRATEGY

新しいツールバージョンがインストールされたときの動作を制御します。

有効な値：

• default：プロンプト表示（対話的な場合）またはインストールのみ（非対話的な場合）
• always-install：常に新しいバージョンをインストール
• always-skip：既存バージョンがある場合は常にスキップ

例：

export VOLTA_INSTALL_STRATEGY=always-install
volta install node@16

VOLTA_SHOW_PROGRESS

ダウンロード進行状況バーの表示を制御します。

有効な値：

• auto：TTYで実行している場合は表示（デフォルト）
• always：常に表示
• never：表示しない

例：

export VOLTA_SHOW_PROGRESS=never
volta install node@16

シェル統合変数

VOLTA_SHELL

Voltaが使用するシェルタイプを明示的に指定します。通常は自動検出されます。

有効な値：

• bash
• zsh
• fish
• powershell
• cmd

例：

export VOLTA_SHELL=zsh
volta setup

VOLTA_AUTO_SWITCH

プロジェクトディレクトリに入るときの自動バージョン切り替えを制御します。

有効な値：

• auto：自動切り替えを有効にする（デフォルト）
• off：自動切り替えを無効にする

例：

export VOLTA_AUTO_SWITCH=off

デバッグ変数

VOLTA_DEV

開発モードを有効にし、追加のデバッグ情報を提供します。

例：

export VOLTA_DEV=1
volta install node@16

VOLTA_UNSAFE_GLOBAL

グローバルパッケージの「安全でない」インストールを許可します（推奨されません）。

例：

export VOLTA_UNSAFE_GLOBAL=1
npm install -g some-package

設定の優先順位

Voltaは以下の順序で設定を解決します：

1. 環境変数
2. プロジェクト設定（package.json）
3. ユーザーのデフォルト設定
4. システムのデフォルト値

実用的な例

CI/CD環境での設定

# より高速で信頼性の高いCI実行のため
export VOLTA_LOGLEVEL=warn
export VOLTA_SHOW_PROGRESS=never
export VOLTA_INSTALL_STRATEGY=always-install
export VOLTA_HTTP_TIMEOUT=120

volta install node@16
npm ci
npm run build

企業プロキシ環境での設定

# プロキシ設定
export HTTPS_PROXY=http://proxy.company.com:8080
export NO_PROXY=localhost,127.0.0.1,.company.com

# より長いタイムアウト
export VOLTA_HTTP_TIMEOUT=300
export VOLTA_MAX_REDIRECTS=20

volta install node@16

開発環境での設定

# 詳細なログとデバッグ情報
export VOLTA_LOGLEVEL=debug
export VOLTA_DEV=1

# カスタムVoltaホーム
export VOLTA_HOME=/opt/volta

volta install node@latest

Dockerコンテナでの設定

# Dockerfile
ENV VOLTA_HOME=/usr/local/volta
ENV VOLTA_SHOW_PROGRESS=never
ENV VOLTA_INSTALL_STRATEGY=always-install

RUN volta install node@16

トラブルシューティング

環境変数の設定に問題がある場合：

1. 変数が正しく設定されていることを確認：

   echo $VOLTA_HOME

2. Voltaが変数を認識していることを確認：

   volta which node  # デバッグ情報を表示

3. ログレベルを上げてより詳細な情報を取得：

   export VOLTA_LOGLEVEL=debug
   volta install node@16

4. シェル設定ファイルで永続的に設定：

   # ~/.bashrc または ~/.zshrc に追加
   export VOLTA_HOME=/usr/local/volta
   export VOLTA_LOGLEVEL=info